裏切りのサーカス 鑑賞日記

オーゴッド、なんと素晴らしい映画を創りたもうたのか。
スパイ小説の巨匠ジョン・ル・カレの原作を元に『ぼくのエリ 200歳の彼女』のトーマス・アルフレッドソンが監督を務めた本作は、ゲイリー・オールドマン、コリン・ファース、トビー・ジョーンズ、キアラン・ハインズ、ベネディクト・カンバーバッチ、マーク・ストロング、トム・ハーディそしてジョン・(メリック)ハートと主要キャストのほぼ全員を実力派男性俳優が占め、男臭くそして「静」という言葉がこれ以上になくぴったりとくる渋い映画となっています。

脚本の良さはさることながら、上記俳優たちのアンサンブルが見事すぎて、まさにため息がもれるような出来栄えとなっています。各キャラクターそれぞれの個性は誇大的ではなく日常を普通に暮らしている人間のように描かれているものの、俳優自身が持つ個性や(もちろん)演技力、衣装など、視覚・聴覚で訴えるもの全てが連動しており、我々が日常生活において相手を仕草などから知るのと同様に、それらからキャラクターがどんな役割を持っているのかを知ることができる、といった見事な演出がなされています。
特にスパイものとなると登場人物が多すぎて観ている側としては相関関係がゴッチャゴチャになって、よくわからないままエンディングを迎えることもままあるので、上記演出は非常に効果的だったと思います。

そしてストーリーですが、スパイものなので基本的にはサスペンスやミステリーという分類になるかとは思うんですが、この作品の根底にあるのは「愛」や「裏切り」といった誰しもが生きる上で体験する人間的な感情です。この人間的な感情が物語の終結に止めどもないカタルシスを産み出し、この映画のレベルを一段階押し上げています。

ここ数年で観た映画の中でも自分の中では1,2を争う映画だと思います。久しぶりに心の10本(実際は10本以上ありますけどw)にランクインする映画に出会えました。是非いろんな方に見ていただけたらと思います!

あと、文脈の関係で本文には書けなかったんですが、スマイリー(ゲイリー・オールドマン)の奥さんの演出方法が、憎いんですよね。こういった小さな演出など非常に凝った作りの映画になっています!

ちなみにレンタルBlu-rayでの視聴ですが、画質は70年代の冷戦下を意識してからか若干色を落とした映像になっています(『ミュンヘン』の劇場公開時のような映像)。ただやはり最近の映画らしいビシっとした画質で役者のアップ時やレンガ作りの建物が映った際にディテールが非常に良く出ていました。また音響も静かなドラマですので派手な音付けはありませんが、セリフやバックミュージックがより効果的に聞こえるよう丁寧に音設計されているように思えました。これは手元においておきたいディスクの1つです(ハンガー・ゲーム買わないでこっち買えばよかった…w)!

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